
小さいデザイン
どうしたら自分の木工の道が見えてくるのか
工場長がよく言うことだけれど、「木で何かを作ることは、容易い。でも、自分で満足できるものを作るのは非常に難しい」。
これは本当にそうだと思う。
ここBonburuでは工場長も岩田さんもデザインができる。常に新作を作ろうとしているから、そこらへんに試作品がころがっている。そして、ちゃんと定期的に最新作としてまとめあげ、売上150万円分くらいを一度に作る。そしてネットにアップする。大抵の場合、2日もあれば完売する。ちゃんと買い手が付いている。
そうやって稼ぐシステムの中で、ぼくは制作の、比較的簡単な工程を担当する。本当に多少だけれどデザインに関与する場面もある。そうやって学びながら、数年で自分もデザインできるようにならなければいけない。自分で満足できるデザインを定期的に発表する。今のぼくにはものすごく難しいことに思える。
それを岩田さんに相談したら、とにかく小さいものを作る、そして完成させるように言われた。短期間でデザインを終えることが大事。作品の大小はまったく気にしてはいけない。極端な話、20分でペンダントトップのデザインから製作まで完成させるとかを、意図的にできれば理想的だよね。
でも それじゃあ大したものは作れないのでは?
いや、一つのアイディアでいい オリジナルのアイディアがほんのちょっとでも込められれば、けっこう自分で気に入るものだよ。とにかく誰の真似でもないと言い切れるすごく小さいものを作ってみたら。
なるほど、と思ってぼくは横切りでいま切ったばかりの木っ端を眺めている。これで何を作ろうかと。
