木工のコツ その3

オリジナル木工製品を作る

木工のコツを、副工場長にも聞いてみました。

もし、椅子とかソファで、複雑な構造のものを作りたいんだったら、3DCGとか3DCADの勉強をするといいよ。何を描いても、図面や椅子の構造を理解する力がつく。木工が上手くなる。

とのことです。
岩田さんはshadeが使える人で、ちょっとした椅子やソファを立体図で描けちゃうのがうらやましいです。shade挫折組のぼくは、shadeと聞くだけで、落ち込みます。いつかCGが描けるようになりたいと思っています。

一番の木工のコツは、自分で作りたいものを常に考えること。
デザインができて、それを形にしたいと思えば、自然とCADも覚えるし、加工も覚えるし、仕上げも、塗装も、張りも自分のこととして考えられる。強度とか、使いやすさとか、掃除や手入れのしやすさとか、木工のいろんな側面が学べる。

そう副工場長は言っていますが、はっきり言って、作りたいものって難しいんですよね。作りたい気持ちは確実にあるのに、どんなもの作りたいのって聞かれるとすごく困ります。ふわっとしたもの、もやのかかったイメージみたいなのはあるんだけれど、作りたいものは何なのか示せと言われると言葉に詰まってしまいます。

だから実際に作るんだよ。作ってみれば、自分が本当に作りたいものが少しわかる。作ったものが、次に作りたいものを呼ぶんだ。デザインはもっと木工が上手くなってからとか言ってないで、小さなものからでも、自分で考えて作ってみなよ。木工はオリジナルを作ってなんぼだから。

そう言って副長はクールに去っていきました。

木工のコツ その2

三つの数字を覚える

木工のコツを工場長に聞いてみました。
うちの工場長はこういう質問を嫌がりません。作業をとめて、考えてくれます。大きな瞳を工場のいたるところに向け、なにかヒントというか、自分考えを言葉にかえてくれる事柄を探してくれます。工場長は近くにある図面を指差し、

木工で、図面を読むのが上手くなりたかったら、3桁の数字を3つ覚えられるようになるといいよ。

と言いました。その図面をもってきて、さらに説明をしてくれます。

この材料を加工する時、長さの寸法と、幅の寸法、そして厚みの寸法をパッと覚えられて、それに自信があると、早く加工ができる。木工は部分的に見れば、そんなに複雑なことはしない。自分のゴールに確信があれば、作業は先の先くらいまで予測して動けるから、動きに無駄がなくなるし、そういうときはストレスもないから楽しいんだ。

うん、なるほど。

暇な時に、目に入る3桁以上の数字をかたっぱしから3つセットで覚える訓練をするんだ。すぐに慣れて、頭のなかに3つの数字をいれとく引き出しみたいのができるよ。

工場長はそう言ってにっこりと笑いました。

木工のコツ

抽象的すぎる木工のコツだな……

今日、木工のコツをひとつ掴んだ気がした。
それは、道具や材料を置く動作に注目すると、全体的に上手くいく、ということだ。
今日の仕事中に思いついたことだから、まったく検証がされていないし、こんなへたっぴいなぼくが、これが木工のコツですと言い切るのはおこがましいのだけれど、たぶん、間違っていない。

どういうことかというと、木工というのは、何かを手に取り、作業をして、その何かを置く、その繰り返しだ。大量生産の工場でも、うちのようなほとんど特注の木工場でもそれは変わらない。
そのものを持ち上げ、置く動作の中の、置く方の動作に意識的になることが、木工のコツなのだ。置く動作に意識的になるということをもっと具体的に言えば、置く位置に敏感になるということだ。

もっと具体的に言えば、その材料は今そこに置くことが正しいのか? と疑うことが、木工のコツなのだ。
同じ材料が10あったら、その材料をきちんとスミをそろえて置く。
大事なポイントは、綺麗に置かれているから立派だ、素晴らしいなんて話では全然ないということ。そんな見た目だけの、表面上だけの話ではなくて、自分がコントロールしている感覚が木工に集中する入り口になってくれるといったら本質的な説明になるかもしれない。

いや、きっとこんな説明ではよく伝わらないだろうな。でも、ぼくは今日確信したのだ。この意識的に道具を、材料を置くということを続けていけば、木工が上手くなれると。自分が今使ったばかりのノコギリを、どこに置くか、きっと三分後にもう一度使うから、少し手前に置こう、まっすぐ置こう、傷つけたらまずいから、材料からもう少し離して置こう。でも落ちたら刃が痛むからもう少し内側に置こう。工場長の集中をそいだら悪いから、そっと音をたてないように置こう。そういう細かい判断の詰まった『置き』ができる職人になろうと思ったのだ。